ホロライブ「全体曲」に係る考察-「hololive IDOL PROJECT」を中心に-

 女性VTuberグループ「ホロライブ」には、いわゆる「全体曲」というものが存在する。先日京V同のVCにおいて、この「全体曲」が何曲あるのか問われた時、正確に答えることが出来なかった。それは「hololive IDOL PROJECT」の理解が不足していることによるものであり、本稿は「全体曲」について「hololive IDOL PROJECT」を主な材料としつつ再確認することを目的とする。

 

 

1.「全体曲」について

 そもそも「全体曲」とは何を意味するのだろうか。まずは2023年7月現在、最新の「全体曲」だと思われる『Our Bright Parade』の紹介文を見てみよう。

今作『Our Bright Parade』は、2019年9月16日(月)にリリースした『Shiny Smily Story』から続く「ホロライブ」全体楽曲の最新作となっており、3月18日(土)・3月19日(日)に開催される《hololive 4th fes. Our Bright Parade》の為に制作され、同ライブにて歌唱初披露を予定しております。

女性VTuberグループ「ホロライブ」、新全体曲『Our Bright Parade』が本日よりデジタル配信リリース!「#春のTikTokホロライブ祭」キャンペーンも実施決定!|カバー株式会社のプレスリリース

 ちなみに、この「『Shiny Smily Story』から続く」という文面だけを見たのか、『Our Bright Parade』を2曲目の全体曲だとする何とも残念な記事が存在するのだが、前年リリースされた『Prism Melody』のプレスリリースに同様の表現があることを踏まえても、「『Shiny Smily Story』を第1弾とする全体楽曲シリーズの最新作」以外の理解は不可能である。

 言い換えれば、『Shiny Smily Story』『Prism Melody』『Our Bright Parade』の3曲は「全体曲」だと断言して差し支えないことがわかる。この他にも明らかに「全体曲」だとわかる楽曲として、2020年1月24日「hololive 1st fes.ノンストップ・ストーリー」でお披露目された、『夢見る空へ』『キラメキライダー☆』が挙げられる。これらは全体ライブに向けて制作されたという点で、『Prism Melody』『Our Bright Parade』と共通している。

尚、『キラメキライダー☆』『夢見る空へ』は昨年8月に水着MVが公開された全体曲『Shiny Smily Story』から約半年ぶりとなるホロライブ全体曲です。『夢見る空へ』は1月24日当日、ホロライブ1期生の赤井はあと、アキ・ローゼンタール、白上フブキ、夏色まつり、夜空メルが歌唱を行い、楽曲のお披露目を行います。

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 これ以降、hololive IDOL PROJECT 1st Live.『Bloom,』と連動した公式曲『Floral Circlet』シリーズが次々とリリースされるなど、「公式曲」が増加していったことは、ホロライブ公式チャンネルのhololive IDOL PROJECT オリジナル楽曲 - YouTubeという再生リストに明らかである。しかし私が考えるに、これら全てを「全体曲」とみなすことにはかなりの無理があり、また多くのリスナーの感覚とも一致しているだろう。そこで、改めて「hololive IDOL PROJECT」の歴史をなぞりつつ、「公式曲」から「全体曲」を抽出する作業を行ってみたい。

 

2.「hololive IDOL PROJECT」について

初期の「hololive IDOL PROJECT」

 「hololive IDOL PROJECT」の初見は、『Shiny Smily Story』の公開時に遡り、続いて『ノンストップ・ストーリー』の主催名義にも名を連ねている。

hololive 1st official song
『Shiny Smily Story』
歌:hololive IDOL PROJECT
作詞:金丸 佳史 (onetrap)
作曲・編曲:中野 領太 (onetrap)
音楽プロデュース:木戸 文祥 (バルス株式会社)

コミックマーケット96ホロライブブース、オフィシャルレポート配信のお知らせ|カバー株式会社のプレスリリース

【公演名義】
主催 : カバー株式会社 / hololive / hololive IDOL PROJECT
制作 : 株式会社ヤマハミュージックエンタテインメントホールディングス
協力 : ネクストロード

2020年1月24日@豊洲PIT。VTuber事務所「ホロライブ」初の全体ライブ「hololive 1st fes.『ノンストップ・ストーリー』」開催決定!|カバー株式会社のプレスリリース

 これらに関連して、2020年3月31日、レコチョクから「hololive IDOL PROJECTコラボキャンペーン」実施に当たってリリースされたプレスリリースを見てみよう。これによると「hololive IDOL PROJECT」はアイドル(グループ)として紹介されており、そのまま「ホロライブがアイドル活動をする(楽曲をリリースする・ライブを行う)際の名義」のような理解ができるだろう。

hololive IDOL PROJECTは、カバーが運営する「ホロライブプロダクション」傘下の女性VTuberグループ「ホロライブ」所属のバーチャルアイドル。1月24日(金)には豊洲PITで「ホロライブ」初のグループ全体ライブ「hololive 1st Fes.『ノンストップ・ストーリー』」を開催、VTuberシーンにおける事務所全体イベントとしては過去最多となる総勢23名がステージに登場するなど、今注目の人気のグループです。 
そんなhololive IDOL PROJECTは2019年9月に「Shiny Smily Story」にて配信デビュー。リリースしている楽曲の多くは、THEアイドルソングという雰囲気をもちながら、夢に向けた活動や想いを綴った歌詞、明るくポップで元気溢れるサウンド、「最高の時間 最高の仲間と」「一緒に行くよどこまでも」「開け夢の扉よ」といった、団結力やファンへの想い、これからの躍進も感じさせるメッセージ性が秘められています。

hololive IDOL PROJECTの楽曲をDLして抽選で10名様にWebMoneyオリジナルカードプレゼント!​~白上フブキ、夏色まつり、赤井はあとを「レコログ」で直撃!~|レコチョクのプレスリリース

 同様に、2020年8月21日に開催された湊あくあ1stソロライブ『あくあ色すーぱー☆どり~む♪』でも、「hololive IDOL PROJECT」が主催名義の一つに並べられている。一方、2020年12月21日、12月22日に開催された「hololive 2nd fes. Beyond the Stage Supported By Bushiroad」においては、主催がカバー株式会社 / hololive production / hololiveとなっており、「hololive IDOL PROJECT」が消えている。このライブは4度の全体ライブで唯一「全体曲」が制作されなかったライブでもあり、次に紹介する「hololive IDOL PROJECT 1st Live.『Bloom,』」の影響が強かったと考えられる。

 

「hololive IDOL PROJECT Season 0 ~CORE!~」の展開

 「Beyond the Stage」で発表された、2021年2月17日開催「hololive IDOL PROJECT 1st Live.『Bloom,』」は、”もっとみんなでアイドルがしたい”タレント22名による音楽ライブであった。特設サイトでは非常に重要な文章が公開されているので、以下にその多くを引用させていただきたい。

hololive IDOL PROJECTは2019年夏、ホロライブ初の全体曲「Shiny Smily Story」とともに発表をしました。

翌年1月、アイドル衣装と全体曲「夢みる空へ」「キラメキライダー☆」をお披露目したhololive 1st fes.『ノンストップ・ストーリー』。

ステージから見える綺麗な光の海と画面を埋め尽くすたくさんのコメントに、タレントの誰もが感動していたことを覚えています。

またあの感動をタレントやファンの皆さんと共有できたら…と強く思いました。

しかしその後、コロナ禍などもあり新曲制作やライブでパフォーマンスする機会をなかなか設けることができず時間だけが過ぎていきました。

もっとみんなでアイドルしたい。
ステージで歌い足りない、踊りたりない。
ユニットでオリジナル曲を歌いたい。
アイドルとしてもっと成長したい。
そんな志を持つタレントたちがいる中で、hololive IDOL PROJECTとして何ができるかを改めて考えました。

そこで新たに、これまでのソロや全体曲とはまた違う、ホロライブという箱の多様性を組み込みユニット音楽を軸にしたアイドル活動を推進するために「hololive IDOL PROJECT Season 0 ~CORE!~」を発起し提案をしました。

「hololive IDOL PROJECT 1st Live. 『Bloom,』」は、これに集まったタレントたちによる活動の一つとして行う、全編オリジナル曲の音楽ライブです。

いつもの魅力をさらに引き出したい。
いつもと違った一面を感じてもらいたい。
1曲に集中して全力を込めたい。
色んな曲を歌いたい、たくさん踊りたい。
ライブやグッズの企画制作段階からタレントと共創することで、今まで以上にタレントの意思がライブに反映されています。残念ながら衣装変更による準備や新曲制作期間に帰国できず、集まってもらったにも関わらずライブ出演の叶わなかったタレントからも積極的に意見を出してもらいライブ制作を進めています。

INTRO | hololive IDOL PROJECT 1st Live.『Bloom,』

 ここに記されているように、「hololive IDOL PROJECT」におけるユニット重視企画として「hololive IDOL PROJECT Season 0 ~CORE!~」(以下「Season 0 ~CORE!~」)が発足した。そしてこれこそが、「hololive IDOL PROJECT」の多様性を生み出し、理解を困難にさせている要因である。

 試しに「Season 0 ~CORE!~」発表(2021年12月)以前にリリースされた「hololive IDOL PROJECT」オリジナル楽曲を羅列してみよう(年月日はリリース日)。

・『Shiny Smily Story』2019年9月16日

・『夢見る空へ』2020年2月17日

・『キラメキライダー☆』2020年2月24日

・『今宵はHalloween Night!』2020年10月23日

 このうち『今宵はHalloween Night!』は、後に紹介する公式曲『Floral Circlet』シリーズの第1弾楽曲であり、「Season 0 ~CORE!~」に連なるものであるから除外して考えてよい。すると、残る3曲は全て「全体曲」ということになる。すなわち「Season 0 ~CORE!~」以前の「hololive IDOL PROJECT」は、あくまでホロライブ全体のアイドル活動を指すものでしかなかったのである。これを踏まえると、前出のレコチョクプレスリリースはまさに的確な表現をしていたし、『Bloom,』特設サイトにおける「これまでのソロや全体曲とはまた違う」という表現は、ソロ(=タレント個別の楽曲)と全体曲(=旧「hololive IDOL PROJECT」)という状況を反映したものであったと理解できる。

 

公式曲『Floral Circlet』シリーズ

 『Bloom,』から4か月ほど遡る2020年10月、「hololive IDOL PROJECT」において、公式曲『Floral Circlet』シリーズの第1弾楽曲となる『今宵はHalloween Night!』をリリースすることが発表されていた。当時の友人Aのツイートからは、あたかもこの時初めて「hololive IDOL PROJECTの公式曲」が発表されたような印象を受けるが、あくまで”『Floral Circlet』シリーズの”第1弾であることはここまでの確認から疑いようがない。

 『Floral Circlet』シリーズの楽曲は、この後9週連続オリジナル楽曲のリリース(の第1弾から第8弾まで)という形で順次発表されていった。『Floral Circlet』シリーズをまとめると以下のようになり、『BLUE CLAPPER』以降の楽曲は「『Floral Circlet』シリーズのN+1弾かつ9週連続リリースのN弾(1≦N≦8)」ということになる。

・今宵はHalloween Night!
・ BLUE CLAPPER
・ 百花繚乱花吹雪
・至上主義アドトラック
・Candy-Go-Round
・でいり〜だいあり〜!
・Suspect
・STARDUST SONG
・Dreaming Days

 それでは、この9曲の中に「全体曲」はあるのか。その疑問を解消するため、音楽ナタリーに掲載されたインタビュー記事を見てみよう。

 以下の文章を読んでみると、「hololive IDOL PROJECT」(=『Floral Circlet』と考えてよいだろう)は特定のタレント・ユニットに帰属する楽曲ではないにもかかわらず、「全体曲」とは少し異なる性質を兼ね備えていることがわかるだろう。

桑原 例えば「キュート」「クール」「パッション」みたいな属性をもっとたくさん並べてアイドルの細分化を系統樹で表すとして、今回僕らが用意する曲は王道のアイドルソングから逸脱しすぎない、大きく枝分かれした分岐点に位置するものだと認識していて。それと同時に、「誰が歌ってもいい曲」というのもテーマにありました。

友人A 「hololive IDOL PROJECT」は固定のユニットではないんです。例えば「百花繚乱花吹雪」という曲は白上フブキさん、百鬼あやめさん、大神ミオさんの3人が歌った音源が配信されていますが、この3人だけが歌う曲というわけではないんですよね。これはプロデューサーが制作の段階で決めていて、歌うタレントさんを固定してしまうとどうしても曲の振れ幅や可能性が狭くなってしまう。なるべく王道で、誰が歌っても華になる曲、という観点で曲を作っていただき、その時点で楽曲のコンセプトに合うだろうという方をホロライブ側からも提案させてもらって、Arte Refactさんからもご意見をいただきながらレコーディングメンバーを決める、という流れでした。

菊池 だからアーティスト名はすべて「hololive IDOL PROJECT」で統一しているんです。なので特定のタレントさんに当てすぎないように、誰が歌ってもいいような見せ方ができる楽曲作りを意識していました。

hololive IDOL PROJECT特集|ホロライブが今、オリジナル曲で勝負する理由 - 音楽ナタリー 特集・インタビュー

 ただし、実はこの中に一曲だけ「全体曲」が紛れているらしいことも、このインタビューから判明している。それは、『Floral Circlet』シリーズの最後の楽曲となる『Dreaming Days』である。なお配信音源・『Bloom,』では、白上フブキ/夏色まつり/紫咲シオン/百⻤あやめ/癒月ちょこ/大空スバル/兎田ぺこら宝鐘マリン/天音かなたの9名が歌唱を担当している。

桑原 アイドル業界的なスタンダードに則って、歌唱人数は基本的に3人、5人、7人、9人の奇数にするようにイメージしていました。奇数だと、ライブのときにフォーメーションが組みやすいんですよね。常に中心が生まれるので「今はこの人がセンター」というのが表現しやすくなる。なので、デモ音源を聴きながら「この曲は5人ぐらいで歌うのがよさそう」とか「これは9人で歌っても違和感ないね」みたいな想定をしていました。

──“全体曲”として作られた「Dreaming Days」は、配信される音源の中で最も歌唱人数が多い曲です。個性豊かなボーカリストたちであるがゆえに、歌唱人数が増えることでミックスなどの調整は苦労しそうなイメージがあります。

桑原 9人分のボーカルを重ねるのは苦戦しました(笑)。先ほど菊池が話していたように、皆さん個性が強いので、整合性を取るという意味で1つの曲に仕上げるのがけっこう大変で……。

hololive IDOL PROJECT特集|ホロライブが今、オリジナル曲で勝負する理由 (2/2) - 音楽ナタリー 特集・インタビュー

 

『Bloom,』関連の「全体曲」

 こうした『Floral Circlet』シリーズを引っ提げて開催された『Bloom,』およびその直後には、2つの「全体曲」が公開されたとみられる。そこで『Bloom,』セトリを確認する意味も込めて、オフィシャルライブレポートを見ていこう。

 1曲目は先ほど説明した『Dreaming Days』で、他のライブと同様、最初に「全体曲」を歌唱している。その後は各自のソロ・ユニット曲が続き、20曲目『キラメキライダー☆』からの「全体曲」ラッシュで締めとなる。2曲目はその「全体曲」ラッシュの最初となった『あすいろClearSky』である。

 この曲はオフィシャルライブレポートで次のように紹介されているが、目を引かれるのは、新たな”公式曲”という表現をされていることである。当該記事をよく見てみると、他にも『キラメキライダー☆』『夢見る空へ』を”公式曲”と表現しているので、どうやら「全体曲」の意で用いているようだ。

アンコール前最後には、新たな公式曲『あすいろClearSky』が披露された。今までの公式曲からまた一歩進んだホロライブが表現されている楽曲で、彼女たちの成長を切なくもダイナミックに表現している。Aメロから、サビの転調が特徴的で、ロボ子さん、さくらみこ、湊あくあ、夜空メル、アキ・ローゼンタール、常闇トワ、大神ミオ、夏色まつり、不知火フレアの総勢9名の合唱はまさに壮大だった。9つのスポットライトがこれからの道しるべかのように、綺麗に鮮やかに彼女たちを照らし続けていた。公式曲そのものが彼女たちのストーリーになっており、全員が大事に育て上げ、歌うたびに成長が曲を通して表現されていく。また新たな一歩を踏み出した彼女たちを歌った新公式曲でアンコール前を壮大に飾ってくれた。

hololive IDOL PROJECT 1st Live.『Bloom,』 @東京ガーデンシアター - #花咲くホロライブ オフィシャルライブレポートを公開!|カバー株式会社のプレスリリース

 また『あすいろClearSky』はこの頃の例に漏れずリリックビデオが投稿されており、 そのコメント欄には新たな「全体曲」として制作されたことを示唆するコメントがある。これらのことから、『あすいろClearSky』は「全体曲」だとみなしてよいだろう。

この曲はとてもいろんな意味を込めました。これまでの全体曲の歌詞をオマージュしたり、新しい視点が含まれています。ぜひフルver.で歌詞も読んでみてください。これからのタレントの未来が、透き通った素敵なあすいろに輝いていますように。(フルver.配信開始は2/19です)

【オリジナル曲】『あすいろClearSky』ショートMV【ロボ子さん, 夜空メル, アキ・ローゼンタール, 夏色まつり, 湊あくあ, 大神ミオ,さくらみこ, 不知火フレア, 常闇トワ】 - YouTube

 『Bloom,』で発表されたアルバム『Bouquet』には、『Floral Circlet』シリーズと『あすいろClearSky』に加え、新曲の『大切フォトグラフ』が収録されたが、この曲が「全体曲」かどうかの判断は難しい。

 まずはあまり有力な要素ではないが、「全体曲」である『あすいろClearSky』と同じく森本練が作詞している。「全体曲」は特に歌詞に趣向を凝らす傾向があるので、ほんの少しではあるが「全体曲」である可能性が示唆される。しかし、それを否定する要素として全体ライブで一切披露していないことが挙げられる。『大切フォトグラフ』は常闇トワ3周年記念LIVE以外で歌唱されたことが無く、その他の「全体曲」がしばしば全体ライブの最初と最後に歌唱される傾向には反している。

 結局のところ確たる証拠は無く、「全体曲」だと胸を張って断言できない以上、『大切フォトグラフ』は「公式曲」ではあれど「全体曲」ではないとしておくのが無難だろう。

 

「Season 0 ~CORE!~」後の「hololive IDOL PROJECT」

  『Bloom,』および『Bouquet』に結実した「Season 0 ~CORE!~」の後、「hololive IDOL PROJECT」はいかなる方向に舵を切ったのか。それ以降に発表された「hololive IDOL PROJECT」の楽曲を確認するため、公式の再生リストとホロライブ公式サイト「MUSIC」ページを見ていこう。

 後者の公式サイトは前者の再生リストに含まれる楽曲をすべてカバーしており、そこに掲載されるのは以下の21曲である(-以降はアーテイスト名、◎が再生リストに含まれるもの)。

・浸食!! 地球全域全おーしゃん -UMISEA

◎マドロミ -天音かなた・常闇トワ

◎おにけもだんす -いろはにほへっと あやふぶみ

・Prism Melody -hololive IDOL PROJECT

◎鬼灯日和 -いろはにほへっと あやふぶみ

◎Over Time -ORIO

◎PANIGHT -NEGI☆U

・ドヤっとVピース☆ -NEGI☆U

・ナンデダメナン? -NEGI☆U

◎よくばりキュートガール -NEGI☆U

・進め↑BAKATARATION -バカタレ共

・Like a Phoenix -ORIO

・Pray -ORIO

◎飛んでK!ホロライブサマー -hololive IDOL PROJECT

◎ホロメン音頭 -hololive IDOL PROJECT

・Rise -hololive English -Council-

・Sparklers -hololive IDOL PROJECT

・りゅーーっときてきゅーーっ!!! -UMISEA

◎Shiny Smily Story (2022 ver.) -hololive IDOL PROJECT

・Non-Fiction -hololive English -Myth-

・Our Bright Parade -hololive IDOL PROJECT

・青春アーカイブ -hololive IDOL PROJECT

 

 これらのアーテイスト名を見ると、「hololive IDOL PROJECT」名義のものと各ユニットのものが混在していることが分かる。ここが『Floral Circlet』シリーズとの差異であり、各ユニットの曲はそれぞれに、そうでないものが「hololive IDOL PROJECT」に帰属することになった。したがって、単に「全体曲」を抜き出すならば「hololive IDOL PROJECT」名義のものが該当すると考えればよさそうだが、ここで少し『ホロライブ・サマー』のテーマ曲について深堀りしたい。

 『ホロライブ・サマー』のテーマ曲に該当するのは、2022の『飛んでK!ホロライブサマー』『ホロメン音頭』『Sparklers』(『Shiny Smily Story (2022 ver.)』)および2023の『青春アーカイブ』である。SSSは「全体曲」のリメイクだと明らかなため考慮しないが、他の3曲はどうなのだろうか。如何せん材料に乏しいため、個人的な感覚に照らして分類してみる。

 はじめに紹介したように、最近の「全体曲」は「『Shiny Smily Story』から続く」と紹介されることが多い。この「SSSの系譜」という要素を重視するならば、『飛んでK!ホロライブサマー』『ホロメン音頭』『Sparklers』は「全体曲」というより、むしろ「Season 0 ~CORE!~」の集大成(テーマ曲)のような立ち位置であった『大切フォトグラフ』に近いと思われる。2023の『青春アーカイブ』は、さらに「全体曲」らしい雰囲気をまとっているものの、やはり狭義の「全体曲」には含めづらい。ただし、ホロメン全員が歌唱する曲が存在し、ホロサマライブも開催されるなど、一部に「全体曲」らしい要素も存在する。したがってその意味を広く取った場合、これらの曲は「全体曲」たりうることに注意したい。

 

レーベルとしての「hololive IDOL PROJECT」

 先ほど、ホロライブ公式サイト「MUSIC」ページに「IDOL PROJECT」として記される楽曲群について考察を加えた。本章の締めくくりとして、逆にそこに記されないユニット曲についてまとめておこう。掲載の基準は、複数人が歌唱を担当していること、ホロライブ公式サイト「MUSIC」ページに(アルバムの一部という形でも)記載があることである。ただし、「MUSIC」ページに記載がない物のうち、印象的なものは打ち消し線を付したうえで残しておいた。

 

・SorAZ(ときのそら,AZKi)    刹那ティックコード

・SorAZ(ときのそら,AZKi)    紅藍クロニクル

・湊あくあ,大空スバル,兎田ぺこら    カレーメシ・イン・ミラク

・兎田ぺこら,さくらみこ    ぺこみこ大戦争!!

・湊あくあ,大空スバル,兎田ぺこら    Hacha-Mecha ミラク

・さくらみこ, 白上フブキ, 夏色まつり & 宝鐘マリン    Gimme吟味virtuaる最高star!!!!

・Ayunda Risu,Moona Hoshinova,Airani Iofifteen,Kureiji Ollie,Anya Melfissa,Pavolia Reine    id:entity voices

・夜空メル,アキ・ローゼンタール,赤井はあと,白上フブキ,夏色まつり    Plasmagic Seasons!

・天音かなた,桐生ココ,角巻わため,常闇トワ,姫森ルーナ    キセキ結び

・星街すいせい,AZKi    The Last Frontier

・Mori Calliope,Takanashi Kiara,Ninomae Ina'nis,Gawr Gura,Watson Amelia    Myth or Treat

・兎田ぺこら,潤羽るしあ,不知火フレア,白銀ノエル,宝鐘マリン    いんたらくとふぁんたじあ

・フブミオ(白上フブキ,大神ミオ)    わくわくエブリデイ

メルティーキッス(夜空メル,癒月ちょこ)    Choco♡Melty

・角巻わため,獅白ぼたん    ししわたクッキング

・みっころね(さくらみこ,戌神ころね)    みっころね×しょうたいむ!!

・Mori Calliope,Takanashi Kiara,Ninomae Ina'nis,Gawr Gura,Watson Amelia    Journey Like a Thousand Years ~千年の旅~

・Mori Calliope,Gawr Gura    Q

・白上フブキ,宝鐘マリン    Happiness World

・星街すいせい,Mori Calliope    Wicked feat. Mori Calliope

・Mori Calliope,星街すいせい    CapSule

・Ayunda Risu,Moona Hoshinova,Airani Iofifteen    HI-15

・Star Flower(星街すいせい,AZKi,Moona Hoshinova,IRyS)    story time

・猫又おかゆ,戌神ころね    ORANGE PARADE feat.戌神ころね

・角巻わため,Mori Calliope    Reaper vs. Sheep

・ホロライブ運動会実行委員(さくらみこ,大神ミオ,大空スバル)    ハッピー☆フィーバー!ホロライブ

・薔薇☆Dice(不知火フレア,白銀ノエル,宝鐘マリン,桃鈴ねね,鷹嶺ルイ,風真いろは)    六本の薔薇と采の歌

・holoX(ラプラス・ダークネス,鷹嶺ルイ,博衣こより,沙花叉クロヱ,風真いろは)    常夜リペイント

・紫咲シオン,ラプラス・ダークネス    リップシンク

・さくらみこ,兎田ぺこら    モッシュレース

・湊あくあ,宝鐘マリン,角巻わため    僕は独りだ

・hololive 5th Generation Twinkle 4 You

・NEGI☆U 寿司☆でしょ!

・うみシーのさちハピ! UMISEA

・hololive EN Connect the World

 

 これらを眺めてみると、同じユニットの曲でも掲載の有無に差があるなど、改めて「IDOL PROJECT」に掲載される基準がよくわからない。また、「holo*27」や「Blue Journey」などは別プロジェクトであるためか、そもそも「MUSIC」ページに記載されないようだ。

3.ホロライブID/ENの全体曲

 周知のように、「ホロライブ」の「全体曲」とは別に、「ホロライブインドネシア」や「ホロライブEnglish」にもそれぞれ「全体曲」が存在するので、いちおう触れておきたい。

 「ホロライブインドネシア」の「全体曲」は1周年記念でリリースされた「id:entity voices」で、3期生デビュー前であるため、1・2期生6名が歌唱を担当している。

 「ホロライブEnglish」の「全体曲」は、つい先日『hololive English 1st Concert -Connect the World- Supported By Bushiroad』のコンサートオリジナルソングとしてリリースされた「Connect the World」である。

 

4.まとめ

 これまでの議論を踏まえつつ、狭義のホロライブ「全体曲」を並べてみると、以下のようになるだろう(年月日はリリース日)。最後にこれらの「全体曲」について、いくつかの個人的見解を述べてみたい。

・『Shiny Smily Story』2019年9月16日

・『夢見る空へ』2020年2月17日

・『キラメキライダー☆』2020年2月24日

・『Dreaming Days』2021年2月11日

・『あすいろClearSky』2021年2月19日

・『Prism Melody』2022年3月13日

・『Shiny Smily Story (2022 ver.) 』2022年9月1日

・『Our Bright Parade』2023年3月9日

 なお、すでに述べたように、ここには以下4曲のホロライブ・サマー関連楽曲が食い込みうる。特に『青春アーカイブ』はその筆頭であった。

・『飛んでK!ホロライブサマー』2022年8月19日

・『ホロメン音頭』2022年8月22日

・『Sparklers』2022年8月26日

・『青春アーカイブ』2023年7月2日

 

 「hololive IDOL PROJECT」および「全体曲」の始まりであった『Shiny Smily Story』は、hololive 1st fes.『ノンストップ・ストーリー』で全員歌唱楽曲という立ち位置を与えられ、『キラメキライダー☆』と共に強く「全体曲」として認識された。同時期の『夢見る空へ』は、歌唱を1期生が担当したこともあってか、それらに比べるとは低い位置にあったように思われる。

 hololive 2nd fes.『Beyond the Stage』によって、この傾向は更に加速された。唯一「全体曲」が製作されなかったこのライブでは、DAY1の1曲目に『Shiny Smily Story』、最終曲として『キラメキライダー☆』が出演メンバー全員で歌唱された。DAY2でもこの2曲の順序を逆にして披露された一方、『夢見る空へ』が披露されることはなかったのである。かくして『Shiny Smily Story』『キラメキライダー☆』は、不動の「全体曲」として神格化された。

 hololive IDOL PROJECT 1st Live. 『Bloom,』に際しては2つの「全体曲」が制作されたが、つづくhololive 3rd fes. Link Your Wishにおける『Prism Melody』は、実は生まれてこなかったかもしれない「全体曲」である。3rd fes. の同時視聴枠で語られた話では、人数の増加や全編ARライブで手いっぱいだったため新曲を作るつもりはなかったが、強い要望があったので急ピッチで Prizm Melody を制作した(曲調やテーマなどもタレントが関わって何とか間に合った)ということである。

 こうした経緯もあってか、hololive 4th fes. Our Bright Paradeでは当然のように『Our Bright Parade』が制作され、この楽曲は「全体曲」で初めてライブタイトルと同じ曲名を持っている。あくまで個人的にだが、『Our Bright Parade』は『Shiny Smily Story』『キラメキライダー☆』に比肩しうる「全体曲」だと感じている。それはもしかすると、4th fes.が1st fes.ぶりに全てのJPメンバーがステージに立ったライブであった、ということに由来しているのかもしれない。

 今後のライブでも、この流れに沿って「全体曲」が制作されていくことだろう。そうした「全体曲」が『Shiny Smily Story』『キラメキライダー☆』の神話に並び立つような未来を期待し、本稿の締めとしたい。

 

 

付論:「hololive IDOL PROJECT」参加メンバー・ユニットを考える

 「hololive IDOL PROJECT」について、執筆の過程で「全体曲」とはあまり関わらない部分も再確認できたため、付論として別に記しておく。

 

参加メンバーについて

 「hololive IDOL PROJECT」への参加者を考える有力な材料として、『Bloom,』の他に『ホロメン音頭』のプレスリリースに存在する次の文章が挙げられる。

カバー株式会社(本社:東京都千代田区代表取締役社長:谷郷元昭)は、VTuberグループ「ホロライブ」に所属し、アイドル企画『hololive IDOL PROJECT』に参加中のメンバーによる、音頭楽曲『ホロメン音頭』の配信を開始いたしました事をお知らせいたします。

 

『hololive IDOL PROJECT』は、YouTubeなどで動画投稿やライブ配信を中心に活動するVTuberグループ「ホロライブ」において、『もっとみんなでアイドルがしたい』タレントによるアイドルプロジェクトです。2021年2月17日(水)には、「ホロライブ」初となる全曲オリジナル曲ライブ《hololive IDOL PROJECT 1st Live.『Bloom,』》を開催、また2021年4月21日(水)には初の全国流通フルアルバムとなる『Bouquet』を発売するなど、話題を集めてまいりました。

女性VTuberグループ「ホロライブ」、初の音頭楽曲『ホロメン音頭』の配信開始!|カバー株式会社のプレスリリース

 一つの解釈として、『ホロメン音頭』の歌唱メンバー(星街すいせい/アキ・ローゼンタール/百鬼あやめ/大神ミオ/白銀ノエル/姫森ルーナ/獅白ぼたん/風真いろはの8名を除いたJPメンバー)がそのまま「Season 0 ~CORE!~」のような有志によるアイドル企画(『hololive IDOL PROJECT』)の参加メンバーだと考えられる。しかし、これにはいくつかの疑問が生じるのである。

ちなみに、『ホロメン音頭』の歌唱メンバーについては、ここからhololive IDOL PROJECT ミニアルバム『ホロライブ・サマー2022』に内包されるブックレットの修正データがDL出来るため、誰でも確認可能である。

 まず、歌唱メンバーでないすなわちアイドル企画に参加していないとは限らないだろう。そもそも、「アイドル企画『hololive IDOL PROJECT』に参加中のメンバーによる」という文章だけでは、有志企画に所属する全員が参加しているかどうかはわからない。また「Season 0 ~CORE!~」時の「衣装変更による準備や新曲制作期間に帰国できず」などのように、何らかの事情によって参加できなかった可能性もあるだろう。

 加えて、歌唱メンバーそのものにも不審な点が認められる。参加していないホロメンのうち、星街すいせい/姫森ルーナなどはそれほど不思議ではないが、「いろはにほへっと あやふぶみ」として『hololive IDOL PROJECT』に参加しているはずの百鬼あやめ/大神ミオの名前が無いのは明らかに不自然である。

カバー株式会社(本社:東京都千代田区代表取締役社長:谷郷元昭)は、VTuberグループ「ホロライブ」に所属し、アイドル企画『hololive IDOL PROJECT』に参加中の「白上フブキ」「百鬼あやめ」「大神ミオ」をメンバーとする新ユニット「いろはにほへっと あやふぶみ」の結成と1stシングル『おにけもだんす』を本日、1月1日(土)0時よりリリースすることをお知らせいたします。

VTuberグループ「ホロライブ」所属「白上フブキ」「百鬼あやめ」「大神ミオ」による新ユニット「いろはにほへっと あやふぶみ」結成! 1stシングル『おにけもだんす』が本日よりデジタル配信リリース!|カバー株式会社のプレスリリース

 結局のところ、「『ホロメン音頭』の歌唱メンバーは、有志による『hololive IDOL PROJECT』に参加している」以上の事は断言できない。ここから減ることは無いだろうが、増えることは十二分にあり得るのである。なお、『Bloom,』にも『ホロメン音頭』の歌唱にも参加していないのは、星街すいせい/姫森ルーナ/風真いろはの3名のみである。

ユニットについて

 「hololive IDOL PROJECT」のユニットを全て挙げよ、と言われれば多くのファンはどれを思い浮かべるだろうか。恐らく人によって帰ってくる答えはまちまちだろうから、会員が見つけた怪しげな海外wikiに批判を加えながら確認したい。

 当該wikiでは、次のような説明を加えながら7つのユニット(Micomet/ALICE/ORIO/NEGI☆U/Spice Love/Irohanihoteto AyaFubuMi/Umisea)を掲載している。このうち、hololive IDOL PROJECT」のユニットではないと思われるものについてその説明を見てみよう。なお、ユニット名の表記は当該wikiに従っている。

This list only includes units which are officially part of Hololive Idol Project. Grouping such as Meltykiss (which are streaming collab units) or DeathStar (which are unofficial singing units not part of Hololive Idol Project) are not included.

・Micomet「Created by Cover for Cinderella Switch VR Concerts. They have no original songs under this banner.」

 仮にここで挙げるとしても「Cinderella Switch VR Concerts」ではなく「VILLS Virtual UNIT Fes.」が正確であろうし、他のユニットと差別化する理由としては「Created by Cover」の信ぴょう性が薄すぎる。加えて、「hololive IDOL PROJECT」の関与は一切明らかになっていない。みこめっとについて、詳しくは非公式wikiを参照するのが良いだろう。

・ALICE「This group was form by Cover for an unknown project. They only sang the cover of Alice in N.Y. and made no further appearance.」

 少なくとも以下の配信ではときのそらが誘ったと発言しており、みこめっと同様「hololive IDOL PROJECT」の関与は全く見られない。

・Spice Love

 「Formed to perform for the advertisement for Nisshin's Curry Meshy. The song was later released as Hacha-Mecha Miracle. The group is mostly abandoned although they sometime appear to sing their song at concerts.」とされる。

 しかし、結成時も「アニサマ2022」スペシャオープニングアクト出演時も「hololive IDOL PROJECT」に関する言及はない。

・Umisea「A mixed language unit formed from hololive JP and hololive EN members. The group have only released two songs together, although they have made several appearances as a unit.」

 2023年7月現在3曲のオリジナルソングを有し、いかにも「hololive IDOL PROJECT」に参加しているように見えるが、実はその説明に「hololive IDOL PROJECT」の語が登場することはない。

 

 ここまで、Micomet/ALICE/Spice Love/Umiseaが「hololive IDOL PROJECT」のユニットではないことを述べてきた。すなわち、「hololive IDOL PROJECT」のユニットは「NEGI☆U」「いろはにほへっと あやふぶみ」「ORIO」の3つということになる。

■ NEGI☆U
VTuberグループ「ホロライブ」のアイドルプロジェクトから生まれた新ユニット。
メンバーはホロライブ2期生の「湊あくあ」「大空スバル」、5期生の「桃鈴ねね」の3人となっており、1stシングルの『つまりはいつもくじけない!』は、2021年7月31日より放送される「昆布わかめ」氏 原作によるTVアニメ「ジャヒー様はくじけない!」のエンディングテーマとなっている。

ユニット名は、アニメタイトルの一部にある“くじけない”から連想を得た、never give up の略となっており、読み方は「ねぎゆー」である。

VTuberグループ「ホロライブ」所属「湊あくあ」「大空スバル」「桃鈴ねね」による新ユニット「NEGI☆U」結成! 1stシングルはTVアニメ『ジャヒー様はくじけない!』エンディングテーマに起用!|カバー株式会社のプレスリリース

■ いろはにほへっと あやふぶみ

VTuberグループ「ホロライブ」のアイドルプロジェクトから生まれた新ユニット。

メンバーはホロライブ1期生の「白上フブキ」、2期生の「百鬼あやめ」、ホロライブゲーマーズの「大神ミオ」の3人からなり、アイドル企画『hololive IDOL PROJECT』で「百花繚乱花吹雪」を披露した“和”のイメージを共通点としたタレントによって形成されました。

VTuberグループ「ホロライブ」所属「白上フブキ」「百鬼あやめ」「大神ミオ」による新ユニット「いろはにほへっと あやふぶみ」結成! 1stシングル『おにけもだんす』が本日よりデジタル配信リリース!|カバー株式会社のプレスリリース

■ ORIO

VTuberグループ「ホロライブ」のアイドルプロジェクトから生まれた新ユニット。

メンバーは、ゲーム「ディープインサニティ アサイラム」の主題歌『マドロミ』を披露したホロライブ4期生の「天音かなた」「常闇トワ」の2人で、ユニット名の「ORIO」は『hololive IDOL PROJECT presents ホロライブアイドル道ラジオ~私たちの歌をきけッ!』とTwitterの連動で開催していた募集企画により決定いたしました。

女性VTuberグループ「ホロライブ」所属「天音かなた」「常闇トワ」による新ユニット「ORIO」結成! 1stシングル『Over Time』が本日よりデジタル配信リリース!|カバー株式会社のプレスリリース

 ただし、この事実自体は前述の再生リストを一見すればわかることである。となれば今考えるべきは、なぜ「スパイスラブ」や「UMISEA」は「hololive IDOL PROJECT」ではないのかということであろう。

 「スパイスラブ」や「UMISEA」は「みこめっと」や「ALICE」とは違い、間違いなく公式によって結成されたユニットである。「スパイスラブ」については、その時期と案件の特殊性によるところが大きいと推察される。「スパイスラブ」が結成されたのは2020年10月、『Bloom,』も『Bouquet』もその姿を現していない時期であった。加えて、「スパイスラブ」は『日清カレーメシ』とコラボするための(2年後に1度復活したが)期間限定のユニットであった。たとえ時期が違ったとしても、「hololive IDOL PROJECT」として活動することはなかっただろう。

 2021年9月に結成された「UMISEA」にはこれらの条件が当てはまらないのだが、その成り立ちから見えてくるものがある。「UMISEA」の結成時、最初に投稿されたのはストーリー動画であり、その内容も「もっとみんなでアイドルがしたい」系統ではなかった。すなわち、後に沙花叉クロヱが加わり、複数のオリジナル楽曲を持つようになったが、そもそもが「アイドル活動」を目的とするユニットではなかったということに尽きる。

【マンガ】UMISEA ストーリー動画【Manga-style Video】 - YouTube

 また一つ推測を重ねるならば、「UMISEA」は「“海” を共通点としたホロライブプロダクション所属VTuberの混合ユニット」と紹介されるように、ENメンバーが所属する。本稿ではかなりの事例を確認してきたけれど、海外メンバーが有志による「hololive IDOL PROJECT」に参加していることを示す資料は無い。ここでは、アイドルプロジェクトとしての「hololive IDOL PROJECT」はJPメンバーだけのものであった可能性があることだけ指摘しておきたい。

 

(記事執筆:黒影海老)