ホロライブの新人における所謂「コラボ禁止」期間について

0.はじめに

 現在のホロライブには、デビュー直後に「同期以外とのコラボ配信を制限する期間」があるとされる。英語圏では「collab ban」として知られるこの制度であるが、ちょうど1か月前にENからAdventがデビューしたこともあるので、この制度はいつ生まれ、どのような経過を辿ってきたのか明らかにしたい。なお、本稿においてはこの制度を「コラボ禁止」、この期間が終了することを「コラボ解禁」と統一する。

 

 

1.「コラボ禁止」略史

 さて、「コラボ禁止」が始まったのはいつだろうか。こうした制度の存在が外部に向けて明言されることはあまりないと思われるが、当事例に限ればデビュー日と(同期以外との)初コラボ日を参照することである程度推測が可能である。英語で言う「branch」、すなわちJP/EN/IDは異なるルールを持つ可能性もあるが、とりあえずひとまとめにデビュー順で記しておく。なお、デビュー日は原則初配信の日付とし、「同期以外」に関してホロライブ内部と外部には特に区別を設けない。

 

↓調査・執筆にあたって用いたスプシ。作業用であるため整理されていない点はご容赦願いたい。


1期生~ゲーマーズ

 1期生がデビューしたころ、「コラボ禁止」は存在しなかったと推測される。デビュー日と初コラボ日を一覧にすると以下のようになり、一見その期間が空いているように見えるが、これは統一されたものではなく、単純にコラボする相手がいなかったことに起因するものであろう。

 2期生がデビューした時も、「コラボ禁止」は未だ存在しなかった。顕著なのは紫咲シオンの例で、2018年8月17日に初配信を行い、3日後の8月20日には夏色まつりとコラボ配信を行っている。また、大空スバルは2018年9月16日にデビューし、6日後の9月22日にはにじさんじの舞本啓介とコラボ配信を行った。

 ゲーマーズはそれぞれデビュー時期が異なり、同期の判断も難しい特殊な世代であるが、むしろ「コラボ禁止」が存在しなかったことが非常に分かりやすい。戌神ころねに至っては初配信前から(声出しなしではあるが)コラボ配信に参加するなど、最も自由な世代と言ってもいいだろう。

3期生~ID2期生

 3期生は先行組と後発組に別れ、およそ3週間の間を設けてデビューしたが、この時初めて共通の「コラボ禁止」期間が設けられたと思われる。そのため、最後にデビューした宝鐘マリン基準でちょうど1か月、先行組では2か月弱の「コラボ禁止」となった。ただし、別項で述べるように、これ以前にマイクラでの通話が行われていたことには注意したい。

 4期生は2019年12月27日から2020年1月4日にかけて初配信を行い、2020年2月1日に「コラボ解禁」を迎えた。注目されるのは、タレント5名全員(卒業生を含む)が解禁当日にコラボ配信を行った点であろう。

 続くID1期生・5期生・EN Myth・ID2期生でもおよそ1か月の「コラボ禁止」が適用されたと思われる。Mythではちょうど1か月が「コラボ禁止」期間であったらしいが、全員が解禁直後にコラボするわけではないことがわかる。

 

EN Project: HOPE~EN Advent

 IRyS単体でデビューしたProject: HOPEにおいても、「コラボ禁止」は適用された。ただし、同じくENメンバー(当時はMythのみ)については2週間、JP/IDについては従来通り1か月という対応が取られたらしい。

 その後、Council・6期生・ID3期生まではおよそ1か月の「コラボ禁止」が続いたが、AdventではENメンバーについては2週間という、Project: HOPEと同じ内容への変更がなされたようである。

 

2.「コラボ禁止」とマイクラ・ARK

 ところで、「コラボ禁止」とは、実は完全に同期以外とのコラボを禁止するものではなかったらしい、というのは以下の切り抜き箇所などで言及されている。ここではその例外として、「コラボ禁止」中のMinecraftやARK: Survival Evolvedといったマルチプレイゲームへの参加例を取り上げて見たい。なお、取り上げるのは「コラボ禁止」の始祖とみられる3期生以降とする。

3期生

 3期生の中では、先行組がデビューから2週間と少し経った2019年8月4日にホロ鯖デビューを果たした。その後も兎田ぺこらを中心にマイクラ配信を行っているほか、8月20日には3期生全員でのホロ鯖マイクラコラボも行っている。

 ただし、この頃はマイクラ配信がそれほど盛んではなく、同時間帯にマイクラ配信枠が被ることも少なかったため、突発コラボが発生するようなことも無かったと思われる。しかし、8月末から9月1日にかけて大空スバルが主催した#ホロ鯖救済 企画の中で、大勢のメンバーによる同時接続があっただけでなく、さくらみこ・猫又おかゆ・戌神ころねの3人とは通話まで行っている。

 なお、3期生がデビューした時点では未だARKのホロ鯖は誕生していなかった。

4期生

 4期生は2020年1月13日に揃ってホロ鯖でのマイクラデビューをしており、配信内では夏色まつりと交流する場面も見られる。

 ホロ鯖ARKに関しては、4期生の桐生ココが立てたサーバーでもあるので、当然規制などされるはずもなく、コラボ解禁日までに4期生だけでも複数回の配信が行われている。

ID1期生

 デビュー直後のID1期生は、マイクラ・ARKともに配信上でプレイしていない。今ではマイクラ名人となっているMoona Hoshinovaも含め、2020年9月ごろに始めてプレイしている。

5期生

 5期生は、3・4期生とは異なり、コラボ解禁までマイクラやARKをプレイすることは無かった。どうやら、この時期までにマルチプレイゲームも「コラボ禁止」の対象だという認識になったようである。

Myth

 Mythの場合、「コラボ禁止」期間中から独自のEN鯖を立ち上げてマイクラをプレイしていた。2020年9月28日にTakanashi Kiaraがソロプレイをしているのは除外して、10月9日にタカモリの2人が、10月11日にはMyth5人でEN鯖での配信を行っている。

 「コラボ解禁」後もMythはEN鯖での配信を続け、JP鯖を訪れたのは(おそらくメイビー)10月24日が初めてであった。なお、それ以降も基本的にはEN鯖でプレイしている。

 ちなみに、ホロライブ非公式wikiではEN鯖について以下のように説明されているのだが、「コラボ解禁」後も頻繁にEN鯖が使用されたことも踏まえると、Takanashi Kiaraが述べている説明の方が適切だろう。

ENサーバが独立に存在する理由は、単純にENメンバーのデビュー後まもなく、JP/IDメンバーとのコラボ解禁前よりENメンバーでマイクラを始めたため

 また、Myth(HOPE、Councilも含めてだが)はデビュー直後以外でもARKをほとんどプレイしておらず、当然「コラボ禁止」期間にはプレイしていない。

ID2期生

 ID2期生の場合も、ホロ鯖マイクラデビューは「コラボ解禁」後となった。
Pavolia Reineは2021年1月12日、Kureiji Ollieは14日にMoona Hoshinovaとデビューを果たしている。なお、あまりマイクラをプレイしないことで有名なAnya Melfissaは、9月2日に初めてプレイしている。

 ID2期生もMythと同様ほとんどARKをプレイしていないため、「コラボ禁止」中に配信することも無かった。

Project: HOPE

 IRySは、本来デビュー2週間後のEN間でのコラボが解禁されたタイミングでEN鯖デビューを果たす予定であった。ところが、間違ってJP鯖にログインしてしまい、ポルカとの突発コラボに繋がった。正式なJP鯖デビューは、JP-EN鯖間のポータルが開通した(2021年10月4日)後の10月10日となったようだ。

 また、例に漏れずIRySもARKはプレイしていない

Council

 Councilの場合、これまでとは少し違う傾向を示す。2021年9月8日にはTsukumo SanaとCeres Fauna、9月14日にはCeres FaunaとNanashi MumeiがEN鯖で配信を行った。ここでは、マイクラは「コラボ禁止」の対象外であったようである。

なお、CouncilもARKはプレイしていない

holoX

 holoXの場合、5期生と同じく「コラボ解禁」後に5人でマイクラ観光配信を行っている。また、ENやIDと違ってARK自体はある程度プレイしているが、「コラボ禁止」中には配信していない。

ID3期生

 ID3期生は「コラボ禁止」中、特別にマイクラ配信を行ったほかは、マイクラをプレイしていないようである。また、ARKは全くプレイしていない。

Advent

 Adventの場合、JPも含めた「コラボ解禁」後にマイクラデビューを行う予定であったが、Koseki Bijouの回線トラブルにより、延期となった。ARKはまだプレイしていない。

 

イクラ・ARKのまとめ

 マイクラ・ARKについては、JPでは5期生頃から「コラボ禁止」の対象という意識が芽生えたようだが、branchごとにその違いがあることはCouncilの例などから読み取れる。また、ARKに関してはそもそもブームとなった時期が偏っていることから、「コラボ禁止」期間と被らなかった例も多い。

 

3.さいごに

 以上、ホロライブにおける「コラボ禁止」について簡単な調査を行った。状況証拠による調査の限界から、詳細を明らかにすることは出来なかったが、一定の成果を得られたのではないかと思う。2023年9月現在、ReGLOSSが新たなbranchであるhololive DEV_ISからデビューしたばかりである。彼女らがどのようなコラボ遍歴を辿るかを楽しみにしつつ、筆を置くこととしたい。

 

(記事執筆:黒影海老)

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