HoneyWorksと「VTuber」、そしてhololiveとHoneyWorksについて

はじめに

 2023年8月27日、トラブルもありまさかの全編無料配信となった「ホロライブ・サマー2023 3DLIVE Splash Party! Sunshine」終了後、(おそらくは「holo*27」につづく)新音楽プロジェクトとして、「hololive × HoneyWorks(ホロハニ)」が発表されたことは未だ記憶に新しい。もちろん、これが両者にとって初めての邂逅という訳ではない。特にVTuberのアイドル活動において、HoneyWorksがもたらした影響は決して無視できず、またHoneyWorksの側からも、少なからず「VTuber」文化との接点を持ってきた。本稿はこうした情勢を踏まえ、HoneyWorksと「VTuber」のかかわり、そしてhololiveの視点から見るHoneyWorksに関して、大要を整理せんと試みるものである。

 

hololive 5th fes. Capture the Moment HoneyWorks stage DAY2【チラ見せ】1:06:40頃のスクショ

 

 

1.HoneyWorksと「VTuber

一翔剣キャラクターデザイン

 2019年2月8日、ラジオ「ミュ~コミ+プラス」にて、ニッポン放送吉田尚記アナウンサーのVTuberキャラクターデザインをヤマコが担当することが発表され、2019年4月1日にバーチャルMC・一翔剣としてデビューした。

 

バーチャルジャニーズプロジェクト

 2019年2月19日、Johnny’s×SHOWROOM「バーチャルジャニーズプロジェクト」海堂 飛鳥(かいどう あすか) 、苺谷 星空(いちごや かなた)のキャラクターデザインをヤマコが担当。「あすかな」はその後活動を続け、2021年11月9日をもってSHOWROOM配信終了、定期的な活動は行われなくなったが、完全に終了したという訳ではないらしい。2024年2月19日には、YouTubeチャンネルにて過去映像である「『弱虫たちの世界征服』パフォーマンスビデオ 海堂飛鳥と苺谷星空(あすかな/ASCANA)」が投稿された。

 なお、「あすかな」は楽曲についてもHoneyWorksからの提供を受け、「HoneyWorks 10th Anniversary“LIP×LIP FILM×LIVE”」などに出演しているものの、あくまでゲスト的立ち位置であり、HoneyWorks作品とは別物である。

 

南くんVTuberデビュー

 2019年3月14日、南(CV:豊永利行)がVTuberデビュー。第一弾として「自己紹介」篇が公開された(2024年3月現在非公開、web.archiveはこちら)。南くんは2018年11月1日にワイモバイルとのキャンペーン楽曲『小さなライオン』で初登場した、ワイモバイルのCMでお馴染みの「ふてニャン」をイメージしたキャラクターである。2019年3月18日には第二弾「歌ってみた」篇が公開された(2024年3月現在非公開)。2019年3月25日に「LIP×LIP SPECIAL LIVE」でバーチャルライブを行った(ちなみにWikipediaは日付が間違っている)。

 なお、キャンペーン終了後にも2020年8月21日公開『1%の恋人』、2023年4月14日公開『彼氏の資格』で再登場している。  

 

VTuber Fes Japan 2021」にLIP×LIPとmonaが出演

 2020年の「VTuber Fes Japan」にLIP×LIPとmonaが出演することが決定していたが、緊急事態宣言の発表を受け延期された。改めて翌2021年「VTuber Fes Japan 2021」DAY2に出演し、『ファンサ』『ロメオ』を披露した

 

VTuber宇都圭輝

 2020年3月10日、HoneyWorksサポートメンバーでキーボード担当の宇都圭輝が、自身のLive2Dモデルを公開した。このモデルは、にじさんじ所属の甲斐田晴とのコラボ動画のサムネイルで使用された(動画本編は実写)ほか、ツイキャスではこのモデルを用いて配信を行っているようである(アーカイブが合言葉式のため、サムネイルのみ確認)。

 

告白実行委員会 -FLYING SONGS」シリーズゲストボーカル

 「告白実行委員会 -FLYING SONGS」は、HoneyWorksが2021年からリリースしている、ゲストボーカル&ボーカロイドを起用した告白実行委員会キャラクターソングアルバムシリーズで、2024年3月現在で2021年3月26日リリース「告白実行委員会 -FLYING SONGS- 愛してる」、2022年8月13日リリース「告白実行委員会 -FLYING SONGS- 恋してる」、2023年12月30日リリース「 告白実行委員会 -FLYING SONGS- オモイアイ」の3つが存在する。
 これらに収録される楽曲のうち、明確にVTuber関連と言えるのは以下の5曲であろう。

可愛いねって言われちゃった/HoneyWorks feat. 星川サラ(「告白実行委員会 -FLYING SONGS- 愛してる」)

うちら、恋人宣言!/HoneyWorks feat.星川サラ(「告白実行委員会 -FLYING SONGS- 恋してる」)

ヒロインは平均以下。/HoneyWorks feat.湊あくあ(「告白実行委員会 -FLYING SONGS- 恋してる」)

男の子の目的は何?/HoneyWorks feat.紫咲シオン(「告白実行委員会 -FLYING SONGS- 恋してる」)

イタキス/HoneyWorks feat.星川サラ&天月(「告白実行委員会 -FLYING SONGS- オモイアイ」)

 また、めいちゃんうらたぬき、Hanon&Kotoha(現在はVTuberとみなしてよいが、詳細は後述)、かぴ天月そらるいれいすは自身のLive2dモデルを所持しているので、VTuberと捉える立場もあるかもしれない(ご本人達がVTuberを自称しているかは存じ上げないので、このような発言が失礼にあたるならば申し訳ない)。なお、いれいす所属の悠佑は、ホロスターズ所属の律可が主催する「第二回VTuber歌唱王」への参加が発表されている。

 また、運命の人だった。/HoneyWorks feat.flower&可不(「告白実行委員会 -FLYING SONGS- オモイアイ」)も、広く捉えればVTuber関連になるだろう。

 

AiceClass(あいすくらす)

 2023年7月2日、HoneyWorks重大発表生放送で発表・同日始動した、HoneyWorksがオーガナイザーを務めるVTuber事務所。アーティスト科・イラストレーター科・アイドル科が存在し、アーティスト科・イラストレーター科には以前から個別の活動を行っていた活動者が所属した。2024年2月28日より、新たにアーティスト科にヴァヴが加入、3月30日にアイドル科2名が新たにデビューし、現在は10名が所属している。

 個別のタレントにはそれほど明るくないので、ハコニワリリィの「バーチャル」の姿についてのみ簡単に紹介し、残りはAiceClass非公式wikiなどを参照していただきたい。

 Hanonは2019年11月18日、Kotohaは2020年2月17日に(おそらく)初のバーチャル配信を行っている。いずれもアーカイブなし、または合言葉式であるので、その姿についてはこちらのアーカイブなどを参照されたい。

 

はのらじありがとうございました!
2人でのバーチャル配信どうだったでしょうか!皆さんとたくさんお話出来て楽しかったです!!!🥰

そして今日はお揃いの服を着てました。くまちゃん🐻#はのらじ pic.twitter.com/5vCj4NNTfa

— Kotoha🍀ハコニワリリィ (@Kotoha_ktnh) 2020年2月17日

↓該当ツイートはこちら(※実写注意)

https://twitter.com/Kotoha_ktnh/status/1229391773455093760

 

 なお両者については、AiceClassへの所属・新衣装お披露目のタイミングを「VTuberデビュー」と見ておくのが無難であろう。

 

 

楽曲提供

 HoneyWorksからの関わりに分類するには微妙だとも思われるが、にじさんじ所属VTuberへの楽曲提供が2例ある。なお、hololive所属タレントへの楽曲提供は第2章で扱うため省いた。

青春モード!もう1回!!(2020年3月18日発売「SMASH The PAINT!!」収録楽曲)

恋の押し売り(2023年4⽉5⽇発売「きみとのShining Days」収録曲)

 

バーチャルライブ

 あえてVTuber関連として取り上げる必要も無いとは思うが、HoneyWorksは複数のバーチャルライブを開催しているので、見つかったものだけ記しておく。

・2019年2月11日Zepp Osaka Bayside/2019年2月17日Zepp DiverCity Tokyo「LIP×LIP LIVE "first kiss" 〜どっちのkissか、選べよ。〜

・2020年1月19日-2020年2月2日、HoneyWorksライブツアー「HoneyWorks Premium Live Tour 2020 〜好きすぎてやばい。〜」バーチャルライブ

福岡、愛知、大阪。北海道で、LIP×LIP、mona、南に加え、サプライズゲストのあすかな(がいたらしい)によるバーチャルライブが行われた。なお、東京公演は無観客ライブとなった。

・2020年11月29日幕張メッセイベントホール「HoneyWorks Premium Live Tour 2020 〜ハニフェス〜」バーチャルライブ

HoneyWorks Premium Live Tour 2020 〜好きすぎてやばい。〜」東京公演の振替として行われた本公演でも、LIP×LIP、mona、南によるバーチャルライブが行われた。

・2020年12月25日公開『HoneyWorks 10th Anniversary “LIP×LIP FILM×LIVE”

映画パートに加えてバーチャルライブパートが存在した。

・2021年12月27日中野サンプラザLAWSON presents HoneyWorks Premium Live 2021〜ハニフェス〜」DAY1 告白実行委員会 ~アイドルシリーズ~ バーチャルライブ

3日間開催されたハニフェスのDAY1で、LIP×LIPとmonaによるバーチャルライブが行われた。

・2022年7月9日Zepp Haneda「Full Throttle4 LIVE 2022”RECEPTION PARTY”

FT4に加え、ゲストとしてLIP×LIP、monaによるバーチャルライブが開催された。

・2022年10月30日幕張メッセイベントホール「#ヒロインたるもの!~嫌われヒロインと内緒のお仕事~スペシャルサニーパーティー

LIP×LIP、Full Throttle4がバーチャルライブに出演した。

 

 

2.hololiveとHoneyWorks

 hololiveとHoneyWorksと聞いた時、第一に想起されるのは何であろうか。あるいは『青春アーカイブ』、あるいはホロハニ、あるいは夏色まつりの『ファンサ』かもしれない。全体ライブやYouTubeライブでの歌唱から、歌ってみた動画・オリジナル楽曲の提供まで、hololiveの様々な(アイドル)活動において顔を覗かせるのがHoneyWorksである。そこで、こうした項目について簡単に整理してみたい。

 

ライブにおけるHoneyWorks

有料ライブ(有料配信ライブを含む)

 ここでは、ホロライブで行われてきたライブのうち、いわゆる有料ライブと呼ばれ、かつホロライブが主催であるものに焦点を当てる。すなわち、例えば1st fes.や3期生ライブは含まれるが、VARKによる「Cinderella switch」や、夏色まつりが出演し『私、アイドル宣言 』を歌唱した星川サラ「星くず Shining Day -きみがみつけた一番星-」などは対象外とする。

 なお、調査に当たってホロライブ非公式wiki

https://seesaawiki.jp/hololivetv/

ライブイベント簡易一覧」(およびそのリンク先であるライブ個別ページ)の2024/04/08時の記述を参考とした。

 

 

 調査結果は以上の通りで、ほとんどがmonaの楽曲であった。有識者に男性VTuberのライブにおけるLIP×LIP・FT4楽曲についてご教示願いたいところである。

 

YouTubeライブ

 (ここで億劫になって作業が1か月止まったことはさておき)以下の再生リスト内に含まれるものを対象とする。公開されているものについては網羅しているつもりだが、非公開のものはもちろん、それ以外にも抜けているライブがある可能性に留意されたい。

ホロライブYouTube3DLIVE - YouTube

 対象の楽曲が63(66)件と膨大になったため、結果に関してはこちらのスプシを参照していただきたい。なお、メンバー限定ライブにおいて3件ほど事例を発見したが、すべてのタレントについて把握できていないこと、そしてメン限という特性を踏まえてスプシからは省いた。

 当初は有料ライブと似たような選曲であったが、2023年ごろから歌唱される楽曲の傾向が異なっている。その要因としては、2022年8月に『可愛くてごめん (feat. かぴ)』がリリース・流行し、(実際セトリを決める側にこうした意識があるかはわからないが)ライブにおける「HoneyWorks枠」が消費されていたこと、2023年4月〜6月に放送されたアニメ『【推しの子】』のOP/ED曲が、流行のアイドル曲として選択されるようになったこと、多くのメンバーがmona楽曲という通過儀礼を経験し終えたことなど、さまざまな要因が想定される。

 

歌ってみた

ホロライブ×HoneyWorks(not ホロハ二)歌動画 - YouTube

 歌ってみた(およびHoneyWorks提供のオリジナル曲)については、上記の再生リストを参考にされたい。現時点で公開されているものは把握できるはずである。なお、ホロハニ楽曲については除外している。

 また、AZKi×千条アリアのシス×ラブや、椎名唯華によるHoneyWorks medleyなど、外部chに投稿されたコラボ歌ってみたについても、面倒なので集めていない。

 なお、歌枠についてはその数が膨大かつ検索が困難であるため、一覧を作成するようなことはしない。その代わりとして、いくつかのおすすめアーカイブとともに、HoneyWorks楽曲が歌われている場合の見つけ方の例を記しておく。

 

ex) ホロライブ非公式wikiを利用する。

 ホロライブ非公式wikiには、各タレントに【歌唱楽曲一覧】のページがあり、その中に「生放送歌唱楽曲一覧」もあるので、検索窓に調べたい楽曲のタイトルを入れると良い。また、ホロライブ非公式wiki全体の検索機能を用いれば、全タレントについて簡単に検索できる。

不知火フレア【歌唱楽曲一覧】 - ホロライブ非公式wiki

 (2024/04/16に検索した際のスクショ、該当検索結果

 

楽曲提供

 ホロライブへの楽曲提供としては、ホロハニ楽曲を除いて3曲が存在する。初披露時に関しては先述のスプシを参照のこと。提供を受けた個人タレントは、いずれも「告白実行委員会 -FLYING SONGS- 恋してる」にゲストボーカルとして参加していた人物である。

『君の最推しにしてよ! 』- 湊あくあ、音源公開日:2022/12/02

『青春アーカイブ』- hololive IDOL PROJECT、音源公開日:2023/07/01

『シンデレラ・マジック』- 紫咲シオン、音源公開日:2023/08/18

 

雑多なネタ

 こうした作業では、動もすれば副産物が得られがちである。今回もその例に漏れず、いくつかのものが見つかっているので、覚書として残しておく。

可愛くなりたい/HoneyWorks (Ft.sana) by 赤井はあと❤️Vtuber - 音楽コラボアプリ nana

(見つけてしまったので書き留めておくが、nanaとYAGOOにはこうした関係があるらしい)

(ハ二プレは2023年3月31日にサービス終了)

(ホロライブとは関係ないが)

さいごに

 以上、HoneyWorksと「VTuber」、そしてhololiveとHoneyWorksの関係について簡単な整理を行った。よく見られた楽曲について、参考のためその公開日を記しておく。なお、ニコニコ動画YouTubeより1日早く公開された場合があるが、それが最速でない限りYouTubeのみを載せている。

 

2018/02/28『私、アイドル宣言』(CHiCOのアルバム、03/07ボカロver.、2020/01/15mona ver.アルバム収録)

2019/06/21『ファンサ』(ニコニコ動画、06/22YouTube)

2019/08/12『ヒロイン育成計画』(ボカロver.C96頒布シングル、2020/01/15涼海ひより ver.)

2019/12/27『No.1』(ニコニコ動画、12/28YouTube)

2021/03/19『誇り高きアイドル』(Kotoha ver.、06/30mona ver.)

 

 調査・執筆にあたってはなるべく遺漏の無いように努めたが、hololiveに関しては高々3年半ほどしか見ておらず、かつ近年はHoneyWorksをあまり追えていないこともあり、不十分な点が多かったかと思う。その点についてはご容赦願いたい。本稿がHoneyWorksVTuber、あるいはhololiveとのかかわりに興味を持った際の一助となれば幸いである。

 

 

(記事執筆:黒影海老)

 

関連リンク(本文中に示したものも含む)

↓正直一番時間かけたのでこの再生リストを見て(聴いて)ください。順番はだいたい組み合わせごとのストーリー順で、HoneyWorksが7割くらいわかります。

hololive × HoneyWorks - YouTube(公式再生リスト、重複ありで不便)

hololive × HoneyWorks予習用 - YouTube(非公式再生リスト、重複を除いたもの)

ホロライブ×HoneyWorks(not ホロハ二)歌動画 - YouTube

ホロライブYouTube3DLIVE - YouTube(非公式)

ホロライブ非公式wiki

AiceClass Wiki*

hololiveとHoneyWorksについて公開用 - Google スプレッドシート