にじさんじの新人における「コラボ禁止」期間について

0. はじめに

 現在のホロライブには、デビュー直後に「同期以外とのコラボ配信を制限する期間」があるとされる。詳細は下記のブログを参照してほしい。

 このブログを読んだにじさんじのファンの方は「じゃあにじさんじはどうなんだろう?」と思ったのではないだろうか?このブログは、にじさんじにおいて「コラボ禁止」期間が存在するのか、存在するとしたらどの程度の期間なのか、いつごろから存在するのかを明らかにすることを目標とする。

なお、このブログにおいてはこの制度のことを「コラボ禁止」、この期間が終了することを「コラボ解禁」と統一する。また、調査対象を「にじさんじ」からデビューしたライバーに絞り、「NIJISANJI KR」や「NIJISANJI ID」からデビューしたのち統合したライバーや「NIJISANJI EN」としてデビューしたライバーは調査対象外とする。加えて、ライバーの名前についてはフルネーム敬称略で記させてもらう。

 

1. 「コラボ禁止」の存在について

 まずはこの配信を見てほしい。(タイムスタンプあり)

タイムスタンプ 0:28:19

 おそらくこれ以前の配信でライバーが「コラボ解禁」という言葉を使ったことはないのではないだろうか。「コラボ禁止」に言及している他の配信についてご存じの方がいれば情報提供をお願いしたい。

 少なくともこの配信から、にじさんじにも「コラボ禁止」の概念が存在していることがわかる。加えて、石神のぞみのデビューが2023/01/16であることから、デビュー日から10日間よりも長い期間「コラボ禁止」期間が設定されていることがわかる。

 厳密には01/21の奈羅花とラトナ・プティのApex Legendsコラボにて近い言及があったものの、ここでの発言だけでは新人ライバーをコラボに誘うことができないのが「コラボ禁止」によるものなのか「マナー」に近いものなのかの確証が持てなかったため、上記配信をソースとして挙げさせてもらった。

タイムスタンプ 0:19:46
同ランク帯の配信者がいないという発言に対してコメント欄で小清水透の名前が挙がっていた

2. 「コラボ禁止」期間について

 次は実際の「コラボ禁止」期間について推定していく。こちらに関してはそもそも「コラボ禁止」が具体的に何を指すのかに依存するため、厳密な推定が難しい。より丁寧に説明するならば「コラボ禁止」には例外が存在するのか、存在するとしたらどのようなコンテンツが例外となるか、である。

 例えば先述したブログによると、ホロライブの場合は「同期とのコラボ」は例外であり、Minecraft等の「マルチプレイゲームへの参加」も例外だった時期があるようである。にじさんじに関してはこのような条件が不透明なため"そのコラボが例外だった"という可能性を否定できず、厳密な「コラボ禁止」期間を推定することが困難となっている。

 そこで、重要なソースとしてこちらの配信を取り上げる。(タイムスタンプあり)

タイムスタンプ 0:35:10

 この配信によると、02/01のコラボ配信が「コラボ解禁」直後であることが推定できる。この二人の同期ユニットであるIdiosがデビューしたのは01/16であり、デビューから16日後のコラボである。Idiosの7名についてこの前後でのコラボ関連の日付は下記のとおりである。

 これらの日付と先ほどの発言を照らし合わせると下記の条件が推測できる。

  • マルチプレイゲームのサーバー参加は「コラボ禁止」の例外である(あるいはより短い禁止期間が設定されている)
  • 同期全体でのコラボは「コラボ禁止」の例外である(あるいはより短い禁止期間が設定されている)
  • 同期内でのコラボは「コラボ禁止」の対象である
  • 先輩とのコラボ、同期とのコラボに「コラボ禁止」制度上の差はない(厳密には5日以下の差がある可能性があるが、そこまで細かく設定しないだろうと予想した)
  • 公式配信に関しては不明

 これをにじさんじの「コラボ禁止」の要件の仮説とすると、およそ2週間程度の「コラボ禁止」期間が設定されているということになりそうだ。この仮説をもとに、Idios前後にデビューしたライバーについて検証する。

3. 仮説検証

エデン組

 最速のコラボは07/27に行われたローレン・イロアス、アクシア・クローネによるスローンズコラボであり、デビューから8日後である。同期全体でのコラボは翌日の07/28、先輩とのコラボはさらに翌日の07/29に公開されたグウェル・オス・ガールの動画であった。ここだけ見れば1週間の「コラボ禁止」があった可能性はあるが、後述するRununculusの事例から、この時点では「コラボ禁止」制度がなかった可能性が高い。

Rununculus

 Rununculusはかなり特殊であり、最速のコラボが公式配信であり、デビュー配信直後の03/20である。加えて、先輩とのコラボも同日の03/20にあくまじを相手に行われ、デビュー日から起算するとすべて4日後である。デビュー配信当日に先輩とコラボしている点を加味するとこの時点では「コラボ禁止」制度がなかった可能性が高い。

壱百満天原サロメ

 同期がいないということで特殊なデビューだったサロメ様こと壱百満天原サロメはコラボに関してもかなり特殊な経緯を歩んでおり、最初のコラボが08/22に公開されたういにんグらんによる逆凸動画であり、デビューからなんと93日、3か月以上誰ともコラボせずに活動してきたということである。一応動画出演という形ではサイレント甲子園2022に参加していたため08/11が最速にはなるが、公式番組でのコラボも特になかったことを踏まえると、「コラボ禁止」制度が影響していた可能性がある。しかし、3か月という期間の長さから、少なからず本人側の意向でコラボしなかった可能性も否定できない。壱百満天原サロメのコラボ事例から「コラボ禁止」について推定することは難しいと言わざるを得ない。

VOLTACTION

 Rununculus同様、初配信と同日に公式配信が行われ、そこで先輩であるグリーンルージュと初コラボを行った。その二日後にあたる07/18には同期全体でのコラボも行われ、その二日後には風楽奏斗、渡会雲雀による1対1でのコラボも行われた。公式配信以外での先輩とのコラボはデビューから15日後の風楽奏斗による渋ハルカスタムコラボ(アクシア・クローネ、ハ ユン)であった。

 公式以外での先輩とのコラボが2週間以上経過していることを考えるとIdios同様2週間の「コラボ禁止」があった可能性はあるが、Idiosと異なり同期内でのコラボがデビューから7日で開催されていることを考えると、条件が違ったか「コラボ禁止」制度そのものがなかったということになる。条件が変更されていた場合は新たなソースがない限り議論できないため、ここでは「コラボ禁止」制度そのものがなかったということにしておく。

Oriens

 ここからはIdios以降のデビューライバーになる。同期全体での初コラボはデビューから17日後の04/16であり、Idios同様2週間程度あるいはそれよりやや長い「コラボ禁止」が設定されているようにみえる。しかし、同期全体以外での最速コラボは04/26に行われた緋八マナ、赤城ウェンによるコラボであり、デビューから実に27日後の出来事である。先輩とのコラボも一番早いものは05/06に行われたApex Legendsカスタムに参加する赤城ウェンであり、Idiosより「コラボ解禁」が遅いように感じられる。これに関しては後述するDyticaの存在が影響していると考えられるので、そちらで説明する。

Dytica

 04/26のデビュー以降、初の同期全体コラボは11日後の05/07、同期全体以外のコラボはデビューから14日後に行われた伊波ライ、叢雲カゲツによるコラボと、極めてIdiosに近い日程感でコラボが行われた。のぞめるがデビューから16日後に初コラボを行っており、先述したのぞめるマイクラの配信で「最速で……最速っていうかほぼほぼ初じゃない?」と言いよどんでいたことを考えると、16日が厳密な最速ではないことが予想でき、「コラボ解禁」はデビューから14日後という説が現実味を帯びてくる。

 一方で、先輩との初コラボは(Oriensを除けば)05/30に行われた叢雲カゲツと轟京子のコラボであり、明らかに日数が空いていることが気になる。この時期に『同期との「コラボ禁止」は2週間、先輩との「コラボ禁止」は1か月』という制度に変化していても不思議ではない。

Oriensの「コラボ禁止」におけるDyticaとの関係性

 また、ここでOriensとDyticaの関係性、MECHATU-Aに関して考察したい。Oriensの「コラボ解禁」日と推定されている04/26はDyticaのデビュー日であり、既存の「コラボ禁止」とは別に『同期』がデビューするまで「コラボ解禁」しないという制度だった可能性が見て取れる(これが制度によるものか自粛によるものかは定かではない)。そのため、Oriensのコラボ遍歴を見て「コラボ禁止」期間がIdiosに比べて伸びていると断言するのは早計である。

 Idiosの「コラボ解禁」がデビューから16日後、Dyticaの「コラボ解禁」がデビューから14日後であることを踏まえて、『「コラボ解禁」はデビューから2週間後であるが、同期のデビューを待っていた』と考える方が自然だろう。

みたらし団

 11/21のデビュー以降、初の同期全体コラボが10日後の12/01、公式配信以外の同期全体以外のコラボはデビューから35日後に行われた花畑チャイカとのみたゃし団コラボである。その翌日に立伝都々、栞葉るりが初のサシコラボを行っている。

 12/15には立伝都々が#にじさんじアイラブ歌リレーに参加しているものの、これをコラボと捉えるかどうかは判断が分かれるだろう。先述したのぞめるマイクラの配信で倉持めるとが「人間と話して良いなどとする……(後略)」と表現していたことを踏まえると、このような企画に参加することができるのは「コラボ解禁」しているからと解釈する方が適当である。

 それでもデビューから24日後のことであり、実際の初コラボが35日後であることを踏まえると、少なくともIdiosのころからは「コラボ禁止」期間が延びている可能性が高そうだ。

補足: 2020年以前について

 今回は筆者の確認できたソースがIdiosデビュー時のものだったため、その前後にデビューしたライバーを中心に調査を行った。2021年以降と2020年以前ではデビュー頻度や形態なども大きく異なることから少なくとも現状の「コラボ禁止」制度と同様のものが運用されていた可能性は低いだろうと推定した。実際のコラボまでの日数等に関しては、次回以降の調査の対象にできればと考えている。(決してライバー数の多さにやる気を失ったというわけではない)

4. まとめ

 これまでの検証を踏まえると、にじさんじにおける「コラボ禁止」制度は下記のような変遷をたどっている可能性が高い。

Idios

2週間の「コラボ禁止」期間(先輩・同期含む)が設けられていた。例外は下記のとおりである。

Oriens, Dytica(MECHATU-A)

2週間の同期との「コラボ禁止」期間、1か月間の先輩との「コラボ禁止」期間が設けられていた。例外は下記のとおりである。

  • マルチプレイゲームのサーバー参加
  • 同期全体でのコラボ
  • Oriensのみ、Dyticaのデビュー日をもって「コラボ解禁」とした

みたらし団

1か月の「コラボ禁止」期間(先輩・同期含む)が設けられていた。例外は下記のとおりである。

  • 同期全体でのコラボ
  • 配信上で直接コラボをしなければ、コラボではない
  • (マルチプレイゲームのサーバー参加については不明)

5. さいごに

 以上、にじさんじにおける「コラボ禁止」について簡単な調査を行った。状況証拠による調査の限界から、詳細を明らかにすることは出来なかったが、一定の成果を得られたのではないかと思う。追加の情報や誤植等を発見した方は、京都大学バーチャルYouTuber同好会のマシュマロに投げていただけると非常にありがたい。

 2024年3月現在、「3SKM」がデビューしたばかりである。彼らがどのようなコラボ遍歴を辿るか楽しみである。また、ライバーの皆さまにおいては(このブログを含めて)ファンの声にとらわれることなく、やりたい配信を自由に行ってほしいと願うばかりである。

 

(記事執筆:すとら)