【Vって何?】メタ・Vtuber論で見る天使代行ラングドシャ【初配信】

注意事項

①天使代行ラングドシャの初配信を視聴していることを前提とする部分があります。できれば以下のリンクから後半部分だけでもご視聴ください。めちゃくちゃ面白いです。また、天使代行ラングドシャについて知りたい方は同時投稿された「V推しなんしょ」の当該記事をお読みいただけますと幸いです。

②大部分にVtuber一般に関するいわゆる「メタい」話が含まれます(もちろんラングドシャ他のVtuberを貶めるものではありません)。アレルギー反応の出る方はブラウザバック推奨です。

③当然のことながらこの記事内での解釈は絶対的なものではありません。この記事を使って他人に価値観を押し付けることのないようにお願いします。(ここでの「他人」とはもちろんラングドシャ本人を含みます。)

この記事に出会えたあなた、運がいいわね!

この記事ではメタ・Vtuber論を振りかざしながら「天使代行ラングドシャ」の初配信を解釈していきます。今回問題にしたいのはこのシーン。

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直前のシーンで高所から飛び降りた「普通の女の子」であるラングドシャは、「ラングドシャ様マジ天使」というコメントを求め、結果として実際に「天使」としての能力を手にして飛び立ちます。

このシーン、「バーチャルではどんな自分にもなれるから」という定型句に単純に当てはめてあっさり理解してしまうにはとても勿体ないシーンだと思います。このシーンを理解するために解決すべき問いは2つ。

①そもそもバーチャルYouTuberの「バーチャル」とは何か

②なぜ彼女は実際に飛行能力を手にして窮地を脱することができたのか

それでは順番に、この問いの答えを探っていきましょう。

Vtuberってなんなのさ

「virtual」の辞書的な定義について

virtual-(表面または名目上はそうでないが)事実上の、実質上の、実際(上)の、虚像の

 (weblio英和和英辞典より引用)

「virtual」とは要するに「そうじゃないってことになってるけど実際のところそう」みたいな意味の言葉です。例えば「一応代表者はAさんってことになってるけど実際代表の仕事をしてるのはBさんだから実質Bさんが代表」のような場合が考えられます。では、Vtuberにおいては何が「一応そうじゃないけど実際のところそう」なのでしょうか。

こん天使~、バーチャル天使YouTuberの天使子です

ここで、我々と同じ世界に住む人間の「人 間子(ひと まこ)」、そしてバーチャル天使YouTuberの「天 使子(てん つかいこ)」がいたと仮定します。(当然ラングドシャをはじめとする実在のVtuberとは一切関係ありません。)

人間子は天使子のいわゆる「中の人」です。つまり人間子は天使子に生まれ等の基本情報を付与し、天使としてインターネット上で活動しています。

そして最後の登場人物は我々「リスナー」です。

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我々リスナーは「天使子は人間子が演じているものである」ということを分かっていますが、「天使子はバーチャル天使YouTuberの天使子であり、実際に天使である」ということを本気で疑うことはしません。逆に人間子演じる天使子も、「リスナーは『天使子は人間子が演じているものである』ということを分かっている」ことを分かっていますが、「天使子は人間が演じているものであり、実際には天使でない。」ということを明かすことはありません。

ここで人間子と天使子、リスナーの3要素から成るこの空間では、全員が「天使子は本当に天使である」ということを認めています。

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 するとどうなるでしょうか。そう、この空間内では「天使子は本当に天使である」ということが実質的に正しい」事柄になっているのです。

天使学校で堕天の怖さを教えられたり地元の名産天使バーガーが好物だったりという天使エピソードは「事実」ではありませんが、少なくともこの空間内では実質的に正しい「真実」なのです。(ここでの「事実でない」というのは人間子からの視点のみの話です。)

これがバーチャルYouTuberの「バーチャル」部分の意味するところです。ただ、これだけで例のシーンの説明はできません。なぜならラングドシャは初配信内で実際に天使の能力を手にしている」からです。

ラングドシャが天使になった過程

実際に天使になる仕掛け

先ほどの考え方からすると、初配信においてラングドシャが実際に天使の能力を手にしたというのはあり得ないことです。しかし、この考え方を逆手に取った「ある仕掛けによって、ラングドシャはこの考え方の元で実際に天使の能力を手にしました。その仕掛けとは一体なんなのでしょうか。

バーチャル・バーチャルYouTuberラングドシャ

その仕掛けとはラングドシャ演じている人自体がバーチャルYouTuberである」ということです。というのも、ラングドシャは「魅月 猫」という普通の女の子が演じている存在であるということが初配信内で語られています。

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するとどうでしょうか。初配信に「魅月猫とリスナー」「ラングドシャとリスナー」が対峙する階層構造を持った2つの空間が存在することになります。ここが通常のVtuberの配信と異なる点であり、ラングドシャの天使としての能力を実際のものにしている点です。

あの瞬間、何が起きたのか。

リスナーが「ラングドシャ様マジ天使」とコメントした瞬間、「ラングドシャとリスナー」の空間において「ラングドシャが天使である」ということが「真実」になります。それに加えて、「魅月猫とリスナー」の空間において「魅月猫から見てもラングドシャは天使である」ということが「真実」になります。これによって表面にある「ラングドシャとリスナー」の空間においては、「ラングドシャは天使であり、翼で空が飛べる」ということがその空間にいる全員にとって正しい「事実へと変わったのです。

これが「ラングドシャが実際に天使の能力を手に入れた」ということの理由であり、このシーンのメタ・Vtuber論的な解釈です。

「本物」の天使代行、ラングドシャ

いかがでしたでしょうか。概念の話なので分かりづらいのですが、できるだけ実感に沿った説明をしたつもりです。この記事を通してメタ・Vtuber論の面白さやラングドシャのすごさに気づいていただけたら幸いです。こんな背景を持ったストーリーを展開できるラングドシャ様マジ天使だと思います。チャンネル登録した方がいいですよ。

(記事作成:852)